ピックアップレーサー記者コラム


若松のSGボートレースメモリアルを2コース差しで制した白井英治の優勝は感動的だった。
振り返れば、2022年8月の浜名湖ボートレースメモリアル優勝戦でコンマ02のスリットオーバー。同年12月の大村グランプリで劇的な優勝を成し遂げたものの、心中穏やかでなかったのは事実。翌年、徳山で実施されたトークショーでは「進退を考えた…」とさえ吐露していたのだ。ファンを、関係者を大切にするサムライ魂を感じる逸話である。

その後も、G1準優勝戦でのFなどが響き記念完全復活とまでいかなかった白井英治。ファンの願いを知っているだけに忸怩(じくじ)たる思いでいたのは事実。だからこそ、この優勝は重いのだ。

近年ずっと勝率上位をマークしているが、勝率は師匠の今村豊さんが最も大切にした活躍のバロメーター。コース不問で活躍しているからこその値である。以下はその参考データだ。

【進入コース別 1着率】 
1コース 73.9%(3連対率95.6%)
2コース 35.7%(3連対率78.5%)
3コース 15.3%(3連対率84.4%)
4コース 25.9%(3連対率74.0%)
5コース 20.0%(3連対率73.3%)
6コース  0.0%(3連対率33.2%)
(データ算出期間:2025年1月1日~9月7日)

シリーズの絶対的な主軸・馬場貴也がいかに地元びわこで強いか、データが証明している。
びわこ優勝回数は19だが、その内、2020年8月のG1周年記念、2022年3月のG2秩父宮妃記念、今年7月のG2全国ボートレース甲子園を制している。
加えて過去3年間(2022年9月1日~2025年8月31日)の全国とびわこの成績を比較すると以下のとおりなのだ。

勝 率 全国/7.62 びわこ/8.03
1着率 全国/32.2% びわこ/40.0%
2連対率 全国/51.6% びわこ/66.3%
3連対率 全国/68.5% びわこ/83.8%

凄みあるデータである。
このびわこ高勝率の背景には、まず88.6%のイン逃げ率があるが、見逃してはならないのが4コース成績。1着率が36.0%もあるうえ、2着率にいたっては44.0%。合わせて80.0%の2連対率なのである。

今年は3月の若松ボートレースクラシックで優出6着、7月の徳山オーシャンカップで優出2着としている馬場貴也。独特な水面環境を知り尽くしているうえ、かの峰竜太をして「マネができない」と言わしめた高速ターンを繰り出すことでシリーズの主導権を握ることは必至。大いに期待したい。

「ほんとうの強さを求めたい!」。
峰竜太がここ数年、口にしている言葉だ。
昨年を含め”最高勝率選手”となること9回。G1はV19でSGは6冠。内、2018年と2020年のグランプリを制しているトップレーサーがである。

その背景にあるのは、ボートレーサーになる前から続く努力のプロセス。やると決めたら徹底的にやり通してきた道筋がある。それも自分で考え試し修正するという厳しい道程だ。

思い返せば、20代半ばには後輩の指導にあたっていたが、それもこれも本気で悩み力の限り真理を追求してきたからできたこと。周囲から『弟子をとるなんてまだ早い』といわれてひるむ程度の努力ではなかったのである。

そして、数々の栄光を手にした峰竜太は今、「年齢による変化を感じている」という。それは端的に「衰え」。下降していく能力を自覚しながら、未だ到達したことのない境地に前進しているのが現在。「タイトルや勝率だけではない何か…」と語ってきた「ほんとうの強さ」の実体が、そのすぐ手の先にあるであろう。

不惑の40歳を迎え、ますます輝きを増しているようにみえるのは気持ちが充実しているから。2021年の69周年以来、2度目のびわこ大賞制覇でともに歓喜を味わいたいものだ。

勝負の世界は紙一重だという。どんなに強くても勝ち続けることは至難の業。必ずやってくる”望まない結果”に対する向き合い方が、その後の明暗を分ける要素となるのだろう。過去の数々のドラマが物語っている。

その体現者のひとりが平本真之。今年8月の若松ボートレースメモリアル2走目でフライング。大きな痛手を負うことになった。
振り返れば、黄金のヘルメット戴冠がかかったグランプリ優勝戦で2度の転覆失格を経験(2021年と2023年)。「ファンの皆さんにどうお詫びをすればいいのか…」と悲嘆に暮れたこともあったが、その都度ファンは温かな声援で支え、それに応えてきた。モーター抽選で低調機ばかりを引き挫けそうになった時も、公開ステージで応援の力を得て復活に成功している。

メモリアルでのフライングの影響がないとはいえないが、困難や苦難を乗り越えてきた平本真之に、ふてくされる姿は似合わない。悔しさを内に秘め、朗らかに勝負に立ち向かうからこそ支持が集まってきたのだ。今大会もきっとその姿で通してくれることだろう。

びわこは2023年3月のG2秩父宮妃記念を含めV3としている得意水面。とりわけ、絶品のまくり差しで勝利する3コース戦に注目したい。

今年8月、守屋美穂がSG戦線に帰ってきたと話題となった。2024年5月の多摩川ボートレースオールスター以来、1年3ヵ月ぶりのSGが若松ボートレースメモリアルだったのだ。女子レーサー第一人者は、レースに対し真摯で実直。舞台を選ぶことなく常に全力で勝負に臨んでおり、それがファンの心を打っている。だからこそ久しぶりの大舞台に多くが共鳴したのだ。

あの「見ててください」にはそんな人生哲学が映り込んでいる。
それはつまり、『できることをすべてやってレースに向かいます。準備不足で後悔するようなことがないように。どこから見ても誰が見ても一生懸命走ったと理解してもらえるような戦いをします』という宣言といっていいだろう。

ゆえに、選手取材やインタビューに対し、ありのままを語ろうとするのが守屋美穂。言葉数が問題なのではない。正確に伝えられるよう真剣に応えているのである。

2025年はここまで尼崎(3月オールレディース)、桐生(4月ヴィーナスシリーズ)、大村(5月ヴィーナスシリーズ)、鳴門(7月一般戦)で優勝と結果を残している。びわこは2020年7月のオールレディース優勝の地。G1初タイトル奪取をびわこで、と願うファンは多い。

かつて「まだ誰も到達していない世界があると思っています」と語った若者がいた。
群馬支部の関浩哉である。

2018年9月、浜名湖で開催されたプレミアムG1第5回ヤングダービー優勝後のことだ。
「僕でいいんでしょうか…」。その表彰式でこう話したのは、まだ無名のルーキーで優勝歴がなかったからだったが、実力を身につけていたのは明らか。その後の通算16優勝。うち、昨年の桐生ヤングダービーを含めG1V4という実績がそれを物語っている。

その安定感はたとえば期間勝率に表れており、現在12期連続A1級を堅持しつつ、2022年後期から7期連続で7点台をマークしているのだ。ちなみに2026年前期適用勝率も9月7日時点で7.65としている。

その背景にあるのが、「まだ誰も到達していない世界がある…」という考え方。人マネではなく、自分の力で考え試し修正する「自前の調整や操縦方法」を模索することで目標がどんどん上がっているのだ。際限なき高みへの挑戦者である。

びわこではまだ優勝していないが、未知へのチャレンジャーにハンデはない。センターの利くびわこ水面は、センター戦を持ち味とする関浩哉にとって絶好の舞台となるはずだ。

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