ピックアップレーサー記者コラム


「ホワイトシャーク」こと白井英治がSGグランプリを制したのは2022年12月の大村第37回大会。以降この大舞台に出場できていないが、実力は誰もがよく知っている。
迷いなきスタートを武器に切れ味鋭い旋回で他艇を置き去りにするシーンは観る者に爽快感を与えるが、混戦力を抜きに語ることができないレーサーでもある。
SG常連組の多くが「白井選手のさばきが凄い!」と口をそろえるほどだ。

そんなテクニックの表れが2コース1着率。なんと32.2%(2025年1月1日~10月28日)もあるのだ。覚えておきたいデータである。

今年序盤は蒲郡一般戦(1月20日)を皮切りに、徳山タイトル戦(5月1日)、下関一般戦(6月16日)で優勝。堅調に白星を伸ばしており、更には、8月末の若松SGボートレースメモリアル制覇により、賞金ランキングを一気に上げ10位(10月28日時点)に位置。3年ぶりのSGグランプリ出場を確定的にしている。

地元徳山はV27としているが、そのうち記念制覇は2018年のSG第28回グランドチャンピオンと2008年&2022年の周年記念。実力面でも実績面でも優勝候補筆頭格といっていいだろう。
人気でも負けないホワイトシャークの雄姿に期待したい。


大峯豊の”記念物語”は、2007年1月に大村で開催された「G1新鋭王座決定戦(当時)」に始まる。デビューからまだ3年8カ月ほどしか経っていなかった若者は、問答無用の攻撃でライバルを打ち破り存在感を示していた。爽快な走りは衝撃的で、ファンが増えたのもこの時である。結果は優出2着。G1初優出初優勝をあと一歩のところで逃している。

そんなパワフルな走りが開花したのは2010年12月。児島の第54回中国地区選でG1初優勝を飾っている。4コースからトップスタートを決め、インに構えていた白井英治をもまくり切ったのだった。

以降、大峯豊にとって4コースは特別なコースとなっている。
たとえば、SG初優出を果たした今年8月のボートレースメモリアルがそう。シリーズ2日目に4カドからまくりを決めシリーズ初白星。この勝利で勢いをつけ準優1号艇を手にしているのだ。
ちなみに、今年1月1日から10月28日までの4コース1着率は26.8%と驚異的な値をマークしているので覚えておきたい。

徳山はこれまで優勝9回を数えるが、記念Vはまだない。
持ち前のレース力で地元記念初優勝を奪取するには4コース戦が決め手に…。その果敢な走りに注目したい。


「そろそろスパートを、と思っていました…」。

これは、今年9月に住之江で開催された「高松宮記念特別競走」を制した直後の馬場貴也の言葉。5年連続7回目のグランプリ出場を念頭においた発言である。

そのイメージ通り10月28日現在の賞金ランキングは6位。トライアルセカンドからの参戦が完全に視野に入っている。あとは「取りこぼしのないように」と思うのが通常だが、馬場貴也の勝負は攻撃型。守勢に回るシーンは考えにくい。

しかしながら、それでいて「ピンロク型」ではないのが馬場貴也のレース。今年1月1日から10月28日までのコース別成績(以下)を見れば明らかだが、1コースと6コース以外の2着率は秀逸。スピードターンを駆使し、しぶとく連に絡んでくることだろう。

1コース 1着率76.0% 2着率8.7% 3着率2.1%
2コース 1着率21.2% 2着率36.3% 3着率12.1%
3コース 1着率22.8% 2着率25.7% 3着率20.0%
4コース 1着率12.9% 2着率29.0% 3着率9.6%
5コース 1着率14.2% 2着率20.0% 3着率20.0%
6コース 1着率4.5% 2着率4.5% 3着率22.7%


ボートレース津で開催されたSG第72回ボートレースダービーは末永和也のSG初優勝で幕を下ろしたが、その栄冠を誰よりも喜んだのが峰竜太。涙しながら「ありがとう!」と話しかける姿が印象的であった。

その「ありがとう!」には、遠い夢を実現させた若者への敬意がある。いわゆる”門下生”に何かを与えただけではなく、自らが教えられ与えられた感覚があったのだ。峰竜太とはそういう人物である。

そのSGボートレースダービー初日のステージで峰竜太は、自らが40歳の節目にいる自覚について語っていた。この先、変化成長していかなければならないと考えているのである。
その成長の正体について峰竜太自身は「ほんとうの強さ」と表現しているが、それはとりもなおさず「タイトル」や「賞金」「勝率」や「優勝回数」に表れない内面の強さを指している。
たとえ思うような仕上がりにならなくとも、たとえ展開不利が続き白星に辿り着くことができなくとも、投げ出したりせずできることを尽くす意志の強さである。

10月28日現在賞金ランキングは11位だが、あまり結果を気にすることなく自然体で戦うことだろう。”不惑”の40歳に達した峰竜太の変化成長に注目したい。


今年7月の徳山オーシャンカップでSG初優勝を飾った西山貴浩について多くのファンが、『面白い』『楽しませてくれる』『応援したくなる』という。何故だろうか…。

間違いなくいえるのはレースに対する真摯な姿勢。たとえ、ステージやピットで人を笑わせたとしても勝負は真剣。相手が誰だろうと全力を注ぐ姿勢を崩したことがない。だからこそ、安心してユーモアに引き込まれてしまうのだろう。

そのレースはアグレッシブで、ゴールまで決してあきらめることがない。その姿勢が今年に入ってからのデータ(2025年1月1日~10月28日)に表れている。

1コース 1着率70.7% 2着率12.2% 3着率7.3%
2コース 1着率15.3% 2着率23.0% 3着率30.7%
3コース 1着率5.2% 2着率28.9% 3着率15.7%
4コース 1着率8.8% 2着率20.5% 3着率23.5%
5コース 1着率11.5% 2着率3.8% 3着率23.0%
6コース 1着率0.0% 2着率4.1% 3着率20.8%

イン戦をのぞき、他のコースの2着&3着率の高さに驚かされる。接戦の強さ、舟券貢献への姿勢が明確。大いに参考としたい。


過去39回おこなわれているSGグランプリで12人の優勝者を出している大阪支部だが、10月28日時点の賞金ランキングトップ50に入っているのは上條暢嵩(8位)・松井繁(42位)・山崎郡(49位)の3人。今や上條暢嵩が”大阪の顔”である。

今年は4月の住之江周年記念と9月のびわこ周年記念で優勝。ここ一番の強さを見せつけており、SG戦線はここまでボートレースクラシックをはじめすべてのSGに参戦。残るチャレンジカップとグランプリを合わせ”SG皆勤賞”は確実である。

決して派手なレースでファンをアッと言わせるわけではないが、やはりここ一番に強いのは確か。過去5回優勝を飾っているG1競走の決まり手は以下のとおりとなっている。

2019年4月 下関ダイヤモンドカップ 3コースまくり
2023年9月 下関ヤングダービー 2コースまくり
2024年1月 下関周年記念 イン逃げ
2025年4月 住之江周年記念 2コース差し
2025年9月 びわこ周年記念 イン逃げ

スロー水域の強さは明確だが、覚えておきたいのは2コース戦。2連対率が69.0%(2025年1月1日~10月28日)もあるのだ。きっと舟券作戦の味方になってくれることだろう。注目したい。