ボートレースびわこ GIIIオールレディース関西スポーツ新聞5社杯争奪 ビーナスちゃんカップ 特設サイトを公開しました。
ピックアップレーサー記者コラム

今年2月17日、東京六本木で開催された「令和6年優秀選手表彰式典」の席上、「クイーンズクライマックスの表彰セレモニーではファンの皆様の心に感動しました。まだすべてにおいて足りていないと感じています。今年も全力で戦います!」と語ったのは「優秀女子選手」に輝いた遠藤エミ。6月の児島W優勝シリーズを皮切りに、8月の福岡レディースチャンピオン、8月児島一般戦、9月の宮島オールレディースと勝ち進み、蒲郡の大晦日決戦クイーンズクライマックスで優勝。1年で女子最高タイトル2冠を獲得したことによる栄誉だった。
その「優秀女子選手」は、なんと4連続5回目。その存在感は圧倒的だ。
式典最後には、着物姿で「いつも通り戦います」と静かに語ったが、ファンに対する感謝の気持ちと勝利への決意は並々ならぬものがある。
地元びわこは過去V5としており、直近の優勝が今年1月のオールレディース。1コースから人気に応え逃げ切っている。
「機力評価を元にした的確な調整力「スリットで不利のないスタート」「コース不問の展開力」「接戦での粘り」「精神的な強さ」など心技体どれをとってもトップクラスのSG覇者がびわこ6つ目の栄冠に向うことになる。

言わずと知れたレディースチャンピオンV2(2007年徳山=4コースから「抜き」、2010年下関=1コースから「逃げ」)の女子第一人者である。
その伝説のはじまりは、2001年6月の唐津グランドチャンピオン。1号艇で優勝戦に進出し女子レーサーが男子トップレーサーと互角に戦えることを身をもって証明したのだった。(優勝戦は5着)
2024年は優勝戦1号艇で3度敗れるなど悔しい思いをした上、第1回から連続出場中だったプレミアムGⅠクイーンズクライマックス出場が12でストップ。これを刺激に、さらなる向上を目指す発言をしたのが蒲郡クイーンズクライマックスシリーズ戦のオープニングセレモニーだった。
そんな意欲がカタチになって、来期適用勝率(11月1日~4月2日時点)は6.99と高水準。3連対率に至っては71.6%もあり舟券貢献度はバツグンだ。
自在な3コース戦に特徴があり、1着率は32.4%、3連対率は75.6%(2024年5月~2025年3月)と信頼に値する。
優勝すれば2015年1月のオールレディース以来、びわこで4つ目のタイトルをゲットすることになる。ベテランの走りに期待したい。

先月3月15日、ボートレース界に激震が走った。丸亀を走っていた西橋奈未がレース中に落水、頭部に大ケガ(頭蓋骨骨折と額を15㎝ほど縫うケガ)を負ったのだ。
多くのファンが心配する中、一週間後に本人が”X”に投稿。「(前略)幸いにも、頭蓋骨の折れ方が良く、視力にも問題がありませんでした。髄液が漏れ出て合併症を引き起こすことも無く、本当に運の良い怪我の仕方をしました。復帰に向けて、気持ちだけは切らさず、回復するように頑張ります」(本文ママ)とファンにメッセージを送ったが、まさか、4月3日開幕の宮島71周年記念競走に出場すると思っていた者はほとんどいなかったに違いない。
石川県立工業高校の機械システム科に入学。男子が大多数の環境のなか勉学に励む一方、弓道部で心身を鍛えた精神力の人は歴史が大好き。歴女である。
「本を読んだり、博物館に行ったり歴史上の地に赴いたりしています。そういう勉強から学ぶことがとても多いです」という。憧れは幕末に活躍した新選組。中でも沖田総司や土方歳三に惹かれるという。
歴史がそうであるように人生にも紆余曲折はある。今後、レーサーとしてどうプロセスを踏んでいくのか気になるところだ。

昨年12月の蒲郡クイーンズクライマックスは細川裕子ファンにとって忘れられないシリーズとなった。地元だったこともあり、「絶対に優勝する!」という意欲と「ファンのみなさんのおかげです」という感謝が手に取るように分かったからだ。
結果は優出2着。初のG1タイトルにあと一歩及ばなかったが、その迫力は鬼気迫るものがあった。
持ち味は、何と言っても女子トップクラスのスピードターン。かつて36連続3連対を記録するなど安定感を誇るのはコース不問で戦えるから。舟券推理に欠かせない頼もしさは、昨年5月1日から今年3月末日までのコース別1着率に明らかだ。
1コース 46.1% 3連対率86.4%
2コース 17.0% 3連対率63.3%
3コース 23.5% 3連対率73.4%
4コース 18.7% 3連対率74.9%
5コース 11.7% 3連対率58.6%
6コース 3.1% 3連対率37.4%
G1レースで7回の優出を誇りながらもビッグタイトルにはなかなか縁がないのも事実だが、タイトルだけがレーサーの存在意義ではない。期待した時に期待に応えてくれるからこそファンは信頼を寄せるのだ。ここ一番にこそ注目したい。

ボートレース界73年に及ぶ歴史の中で、女子レーサーの存在を語るとき欠かせないのが山川美由紀だ。2025年4月2日現在、8874走し通算2764勝(白星は女子最多)。82優勝の内、G1レースは17優出4優勝。そのG1タイトルは次のとおりだ。
1999年2月 鳴門・四国地区選手権
2001年3月 多摩川・レディースチャンピオン
2012年8月 若松・レディースチャンピオン
2018年8月 桐生・レディースチャンピオン
すさまじいのはA級堅持の期間。なんと75期、37年あまりの長きにわたりトップランカーに君臨しているのである。2025年後期は厳しい状況だが、力量は数字で証明されているのだ。
さらに、レディースオールスター第1回大会で優勝するなど存在感を示しているが、今年2月に浜名湖で開催されたプレミアムG1第1回スピードクイーンメモリアルで優出2着に…。「もうこの大会に出ることはないと思います」と語ってはいたが、初物に強いところをみせており、存在感にかげりはない。
びわこ優勝は、1994年11月の女子リーグと2011年4月の一般戦の2回。四国の荒波で鍛えた操縦力と卓越した調整力を駆使し戦い抜く大ベテランの姿を注視したい。

2024年10月、勝浦真帆は蒲郡のヴィーナスシリーズで初優勝(1コース逃げ)を果たした。この時期、A2初昇格を決め飛躍を遂げた半年となったのは記憶に新しい。
その初Vによって自信をつけたか、以降連続優出を決めるなど好調をキープ。大晦日のクイーンズクライマックスシリーズ戦も1コースから逃げ切り優勝。一躍時の人となったのだった。
年が明け、2025年は3月の宮島ヴィーナスシリーズで2コース差しを決め自身3回目の優勝を果たしている。
そのレース力を支えているもののひとつがスタート力。2024年11月1日~2025年4月2日の平均スタートタイミングはコンマ13。スタート順2.6は女子トップクラスである。
加えて、同期間の勝率を6.48としており、2025年後期は初めてA1に昇りつめる可能性が極めて高いのだ。ちなみに2連対率は53.3%、3連対率は65.6%である。
かつて「ボートレース王国」と称された岡山支部に所属し、たゆまず練習を重ねてきた若鮎は、イーグル会の小畑実成を師と仰ぎ人間性も磨いてきた。その朗らかさを周囲は愛で、「かっちゃん」と呼ばれることもある中国地区の次代のヒロインが、びわこ初優勝に向け最善を尽くす。