ムービー特集に優勝選手表彰式インタビューVTRを追加しました。
ピックアップレーサー記者コラム
並みいる強豪が顔を揃える中、ひときわ強い存在感を放つのが吉田拡郎である。記念戦線における最大の勲章は2014年7月の「SG第19回オーシャンカップ(丸亀)」の優勝。そのイン逃げシーンは今も多くのファンの脳裏に刻まれている。
そのほか、G1V5&G2V4を数える記念常連にとって忘れられないのが、2024年10月にびわこで開催された「秩父宮妃記念杯」。意志の強さを証明する豪快な4カドまくりで栄冠を手にしたのだった。今回も注目されるゆえんである。
2025年11月から2026年4月までの記念戦線では、12大会で準優進出が6回。3月の地元児島周年記念で優出4着としている。優勝こそないが流れは悪くないといっていい。
1コース1着率76.9%を誇るイン戦(2025年5月~2026年4月)は信頼度抜群。2コース1着率は25.6%と高い一方、際立つのが3コースの2着率。41.0%という数字は外マイ順走で2マーク勝負に持ち込むレーススタイルを表している。
スタート力も抜群で平均タイミングはコンマ12と早いうえ、4コースはさらに早いコンマ11。スロー勢にプレッシャーをかけることで生まれるレース展開から目が離せない。
愛知支部の核として確かな存在感を放つ岩瀬裕亮は、今年1月のびわこ「G2第69回結核予防事業協賛 秩父宮妃記念杯」で5コースから展開をとらえるまくり差しでG2以上の記念初優勝を果たしている。
なかなか手が届かなかった記念タイトルについて、「デビューしてここまで(15年8カ月)、苦節というか苦しい思いばかりしてきました。自信をなくしてしまいそうな時期もありましたが、モチベーションを保ってきてよかったです」と感慨深そうだった。耐えに耐えた年月によって練り上げられた『自信』を胸にディフェンディングチャンピオンとしての参戦が今回である。
近況のG1戦線6戦では予選突破4回と、優出こそないがハイレベルな戦いを演じている点は押さえておきたい。
最大の武器は天性のセンスから生まれる旋回力。盤石なイン逃げ(1着率85.9% / 2025年5月~2026年4月)はもとより、2コースから4コースまでの2着率が30%を超えている点を忘れてはならない。展開の先読みができる稀有なレーサーである。
心技体が充実し脂が乗った今の岩瀬裕亮にとって、ステージアップの舞台となったびわこは出世水面。再び歓喜の瞬間を期待してみたい。
岡山支部の『ホープ』から『次代の顔』に変貌を遂げつつあるのが藤原啓史朗。その第一章となったのが2023年夏の「G2第67回結核予防事業協賛 秩父宮妃記念杯」である。初日から他を寄せつけない圧倒的な走りを披露し無傷の8連勝で”完全優勝”を成し遂げたのだった。
決まり手は、イン逃げ3本のほか、2コース差し、3コースまくり、4コースまくり、そして5コースからは2本のまくり差しと、コース不問の戦いで史上5人目のG2完全Vを達成したのだ。
その伝説を作った舞台・びわこに藤原啓史朗が帰ってくる。楽しみでならない。
持ち味は鋭いスタート力と卓越した読み。行き当たりばったりではない戦略的レーサーは、イン逃げはもちろん、2コースからの意表を突くまくりや、一瞬の隙を突き抜けてくるまくり差しでファンを魅了するはず。ストイックに真摯に、妥協せず大会を走り切ることだろう。
今年に入り、2月の宮島一般戦優勝戦では2コースからコンマ10のトップスタートを放ち差し先頭ゴール、4月の芦屋一般戦優勝戦は1コースからコンマ07のスタートから逃げ切っており、勢いを感じさせている藤原啓史朗。その『完全無比なる自在戦』に期待したい。
地元びわこの『次代の星』として期待を集める澤田尚也は、養成所121期の修了記念競走で優勝。2017年11月のデビュー当時から注目を集めてきた逸材である。
2021年後期に初めてA2級に昇格すると、以降連続してA級を維持。今期(2026年前期)適用成績ではキャリアハイの勝率7.34をマークしている。
また、来期(2026年後期)適用成績の進入コース別成績(集計期間2025年11月1日~2026年4月30日)は以下のとおりだ。
1コース 1着率80.7% 3連対率96.1%
2コース 1着率16.6% 3連対率50.0%
3コース 1着率26.3% 3連対率57.8%
4コース 1着率15.7% 3連対率36.8%
5コース 1着率15.0% 3連対率50.0%
6コース 1着率 0.0% 3連対率22.2%
上記のとおり奇数コースが得意なのは明らか。基本戦法はスピード満点の「逃げ」と「まくり差し」である。
2021年4月の三国一般戦の初優勝から今年4月の戸田一般戦Vまで通算V9としているが、G2以上の記念優勝歴はまだない澤田尚也。トップレーサーと互角以上に渡り合う能力は十分ある。悲願の地元初Vと記念初Vが重なる歓喜のシーンに期待したい。
本大会に参戦するレーサーは52名だが、その内女子は平高奈菜と今井美亜、そして渡邉優美の3人。渡邉優美はその筆頭として注目したい。
なぜなら、渡邉優美にとって「びわこ」は特別な水面だからだ。
2024年2月、びわこで開催された「G2第8回レディースオールスター」でG2初優勝。「恩返しできていればいいんですが…」と謙虚に喜びを口にしていた。言葉は控えめだったが、しみじみ喜びを感じていたことは容易に想像できる。
常に女子トップクラスの勝率をキープしてきたが、2026年前期はキャリアハイの7.47をマーク。レース場、コンディション、モーター素性、コースを超えて結果を出す姿が浮かび上がってくるが、その背景には、卓越した操縦技術に加え、高いプロペラ調整力があることを忘れてはならない。そして、勝負度胸も素晴らしく荒れ水面も気にしない。すべてが高水準なのだ。
堅実なイン戦はもちろん、2コースからの鋭い差しは芸術的で、2025年5月から2026年4月までの1年間の2コース1着率は30.2%と際立っている。さらに、センターやアウトからでも自力駆けに出たり、鋭く展開を突くなど自在性抜群。アグレッシブな戦いに期待したい。
